タイトル
沙耶の唄
ブランド
Nitroplus
発売日
2003-12-26

不動のマイPCゲームベスト。
女性向け男性向けひっくるめて沙耶が一番好きです。何度プレイしたか分からない。(そして何度もプレイしやすいボリュームが嬉しい)

「沙耶の唄は純愛」とよく言われる。
私はいつも沙耶をプレイするとき、愛について考える。
愛とは何だろうと突き詰めて考えたとき、他者を選ぶことなのかなと、愛が分からないなりに思ったりする。
人というのはたくさんいて、その中の異性だったり、同性だったりのひとりを、特別な存在だと思う。それが愛なのかな、と。だからつまり、意識的に選ぶというよりは、いつの間にか選んでいるというか。
愛ってそういうものだと、何となく私は認識している。
じゃあ郁紀が沙耶に抱いていった気持ちは愛なのか?
この状況で、彼は果たして沙耶を「選んだ」といえるのか。
郁紀の世界で郁紀が人だと認識できる人物は沙耶しかいない。ひとりしかいない中で沙耶を選ぶことは果たして愛なのか?
愛とは難しい。
でも、そこにある感情が愛なのだと、自分自身が認識したとき、愛はそこにあるものなんだと思う。沙耶以外にいない中から、郁紀は沙耶を選んだ。
沙耶も郁紀を選んだ。郁紀は沙耶を愛してくれるし、沙耶は郁紀を愛してくれる。純粋な愛がふたりのあいだにはある。

郁紀には沙耶しかいない。そして沙耶もまた、郁紀しかいない。閉じた世界がひらかれたとき、そこに沙耶はいない。
どのエンドも好きだけど、ハッピーエンドはどれなんだろうと考えてもやはりよく分からない。

沙耶が大好きで、何度もプレイして、けれどもいつも答えは出ないまま。愛の定義も、いつも考え続けている。
だからこそ沙耶が好きなんだと思う。
単純に物語の力が強くて何もしなくても引っ張られる感覚はある。
でもそれだけじゃなくて、愛や幸せについて考える余白があるからこそ、私は沙耶が好きなんだと思う。