タイトル
東京あまとりあ 上・下
作者
鈴木あみ
イラスト
唯月一
出版社
オークラ出版 アイス文庫
出版日
上 2005-02-05
下 2005-02-05

上下巻はまとめてレビューすることにします。シリーズもので1冊完結なら別々にレビューかな。
今は亡きアイス文庫。
まあ何というか、絶対失敗したくないマンになっていたので、昔読んで面白かったものを蔵書コレクションから引っ張り出しました。
今、蔵書コレクションを残すものとそうでないものに仕分け中です。

やっぱり記憶通り、面白かったです。
古い作品なんですよ。文庫が出たのが2005年ですが、あとがきによると、ノベルズがその5年前。
私、わりと古いBL小説を読んではいるんですが、正直、2000年ころまでは現代で読むには結構キツい作品が多いんですよ。
(一人称のハイテンション小説が苦手なので、そいういうのはキツいと感じる。いや、それがうまく作用している少女小説のジャパネスクシリーズ、お嬢様シリーズ、ゴーストハントシリーズ(悪霊シリーズ)なんかは大好きなんですが。ミステリ系でも一人称はあって、ああいうのはさすがの文章力で面白い。カズオイシグロさんのわたしを離さないでも一人称ですね。これは感情が抑えられて、よく行き届いた文体で好きなんですよ。ということで一人称が一概に苦手なわけではない。BLで少女小説と同じノリの擬音バリバリのポエムみたいな一人称は無理があると思うのだわ。今でもネット小説はそういう文化がありますが、まあ、商業BLを買って楽しむ勢とはまた別文化が流れているのだと理解しています)
と、話がそれましたが、東京あまとりあは全然内容も文章も古くなっていないんですね。
古くなっていないのは昭和初期が舞台だからという理由だけではないような。やっぱり、時代が関係なく楽しめる文章と内容だからかなと思います。

あと、この話は他人にそっくりな主人公・雫がどうして似ているのかという部分に、ちゃんとアンサーが用意されているのがいい。
ありえない設定を、ありえるに持って行くあたりがこの話を面白いと感じる理由かなと思う。

あとがきの、小エビ1匹であとがきを手伝ってあげたM戸さんの話が面白い。